愛するということ by エーリッヒ・フロム
1年半ぶりに読了。相変わらずの名著。前回の読書メモはこちら [Link]。
色んな事に共通するが、僕個人にとっての名著は、読む度に新しい発見がある。
それだけ深い事が書いているということであるし、各ステージに大事なことが書かれているのだろう。
他には、7つの習慣、とかに似た様な感触を持っていたりする。
折角なので、前回からの差分として、今回新しく刺さった部分を取り上げてみたい。
今回新しく発見
- 激痛
- 人間形成
- 与えるという意味で人を愛することが出来るか否かは、その人の人格発達と密接に関係している
- つまり、その性格が、生産的な段階に達していなければいけない
- 愛の段階
- 幼稚:「愛されているから愛する」「あなたが必要だから、あなたを愛する」
- 成熟:「愛するから愛される」「あなたを愛しているから、あなたが必要だ」
- 2019年末・まりおさん問題
- 人格形成の問題と、自己実現の問題を切り分けれられるのか?
- 情緒発達の面で、母親への幼児的執着から抜けきれない男たち(P143)
- 人間形成
- 愛の必要条件
- 一人でいられる能力こそ、愛する能力の前提条件。
- ナルシズムの克服。
- 客観的であると同時に、「どういうときに自分が客観的でないか」を知らないといけない
- 困難に遭うほど、その人の本性が出る。余裕がある時は、誰でも大丈夫なのだ
- 「信じる」ということ。理にかなった信念とは、自信の思考・感情・経験に基づいた確信。
- 自分を知る勇気を持つ
- どんな時にじぶんがズルく立ち振る舞うかを詳しく調べる
- 人は意識の上では愛されない事を恐れているが、無意識の中では愛する事を恐れている。
- 愛の求め=孤立の克服(仕事や戦争もその表れ)
- 「人間の秘密」を知りたいという欲求
- 相手のうちへ入っていく行為において、私は自分自身を、相手は相手自身を発見する。
- 愛は「活動」である
- 自分の外にある目的のためにエネルギーを注ぐ
- スピノザの感情への見解
- 「行動」: 能動的な感情
- 「情熱」: 受動的な感情
- 愛は、能動的な行動であり、受動的な情熱ではない。
- 愛は、落ちるものではなく、自ら踏み込むものだ
- 与えるということ
- 何かを犠牲にすることではない。犠牲にするから美徳なのではない。
- 与えることは、自分の持てる力・生命力の最も高度な表現。だから喜びを覚える。
- 与えることは、自分の生命(自分の中に息づいているもの)を与えるのだ。
- 本当の意味で与えれば、必ず何かを受け取っている。
- 愛に必要な要素:配慮、責任、尊敬、知
- 配慮:愛する者の生命と成長を、積極的に気にかける事
- 責任:自発的に、他人の要求に応えられる用意
- 尊敬:その人がその人らしく成長発展していくように気遣うこと
- 知る:上記の3つを果たすには、知性で知らなければいけない
- 母性愛の困難性
- 母性愛の真価:幼児に対する愛ではなく、成長を遂げた子に対する愛
- 母親は、子のスダチを耐え忍ぶだけでなく、それを望み、後押ししなければいけない。
- ここに、愛するものの幸福以外、何も望まない能力が必要になる
- 対立
- 内的現実の奥底で体験されるような対立は、決して破壊的ではない
- 真の対立のなかでは、それぞれが「自分の存在の中心」において自分自身を経験する
- その経験に基づく愛は、絶え間ない挑戦である。安らぎの場ではなく、活動であり、成長であり、共同作業である。
- 自分自身と一体化することによって、相手と一体化するということ
- その他
- 愛は当たり前ではない。愛について学ばなければならない。理論に精通し、その修練に励むこと。
- なぜ人は愛を学ばないのか?心から求めているのに、愛よりも物や名誉の方が大事だと考えているから
- 宗教が復活しているなんて真っ赤な嘘だ
- 今や神への愛は、疎外された性格構造に見合った関係へと変質している
前回のメモより
- 基本事項
- 愛することには技術が必要
- 愛することは、能動的な行動
- 愛しているから、あなたが必要、という状態に至る
- 「与えることは犠牲」などの感覚は、愛を市場主義的感覚で見ているから起こるのだ
- 誤認
- 愛の問題を、「愛される問題」と捉えている
- 「対象」の問題であって、「能力」の問題ではない、という思い込み
- その昔は、結婚した後に愛が芽生えると考えられていた
- 資本主義的考え。自分の価値と比べて、掘り出し物を探そうとしている
- 恋に「落ちる」という体験と、「愛している」という安定的状態との錯誤
- 第2章; 愛の理論
- 愛の芽生え
- 孤立しているのに、結ばれていない事への羞恥心・罪悪感・不安
- 不安の解消
- 仕事への熱中
- 侵略
- 宗教
- 祝祭的興奮(集合意識)
- 考え方としては、暇と退屈の倫理学に近い
- 一体感を味うための方法
- 1.祝祭的興奮(集合意識)
- 一過性:性的興奮
- 定常性:愛
- 2.集団同調
- 3.創造的活動
- 1.祝祭的興奮(集合意識)
- 愛の芽生え
- 愛とは
- 能動的な活動で、自ら踏み込むもの
- 与えることは、何か損するとか、犠牲にすることではない(資本主義的考え)
- 与えることは美徳だからやる、のではない
- 生産的にならねばならない
- 与えることが、自らの喜びとなる
- そう思えるかどうかが、その人間の成熟度を代表している
- 幼稚な愛: 愛されるから、愛する。あなたが必要だから、あなたを愛する。
- 成熟した愛: 愛するから、愛される。あなたを愛しているから、あなたが必要だ。
- 能動的な活動で、自ら踏み込むもの
- 愛の形
- 1.親子の愛
- 母親の愛: 受動的に受け取る愛 (無条件の愛)
- 父親の愛: 私が愛するのは、あなたが私の期待に応えるからである (条件付きの愛)
- 2. 兄妹の愛
- 3. 異性の愛
- 4. 自己への愛
- 利己主義と自己愛が異なることに注意
- 5. 神への愛
- 母権的宗教(自然・無条件の愛)–>父権的宗教(一神教・条件付きの愛)への発展
- 1.親子の愛
- 愛の練習
- 客観性=ナルシズムの克服
- 自分の不寛容・不機嫌を客観的に観察する
- ナルシズムは、現実と自分の認識をゆがめる元凶である
- 相手を信じること
- 相手に対して誠実になるための必要条件
- 客観性=ナルシズムの克服