2019.03.15 [講演メモ] 計算機シミュレーションは科学といえるのか(RCCSカフェ)

京都大学の科学哲学の専門家・伊勢田哲治さんに職場に講演に来て頂きました.
自分が提案したということもあり,一冊本を読んで参加.なので,基本的なことは概ね理解可能(復習なので).
ただ,他のメンバーが特にそういう勉強をしたわけでもなく議論しており,びっくり.基礎的な論理力・思考力を問われている.
何かを疑問に思うことは多いが,そこに対して思考し,自分なりの見解を持つという力が弱いのかもしれない.改善の余地あり.
科学哲学については,概ね感覚がつかめてきたので,もう一息.


 

  •  そもそも哲学の最初の問い
    • 我々は,世界について知ることが(producing knowledge)出来るのか?
      • 経験主義:経験的に知ることが出来る
      • 合理主義:合理的に構築することが出来る
    • 素朴な科学のイメージ
      • 経験科学 => 理論の構築 => シミュレーション
  •  「科学」を定義するための営み
    • カール・ポパーの反証主義
      • 素朴な定義: 反証化可能であること
      • 哲学的定義: 反証されるまで仮説が生き延びる
    • しかし,反証主義は科学哲学者からは支持されなくなってくる
      • 素朴な定義: なんでもOKになる
      • 哲学的定義: 海王星の発見は科学ではなくなる(ニュートン力学だと説明できない,が出発点だから)
    • その後,色々な方法が提案される
      • logical approach
      • social-historicalapproach
      • 方法-認識論的アプローチ
    • しかし,どのアプローチでも,「科学の定義(=必要十分条件)」を与えることは難しそうだと結論
      • 「科学か疑似科学か」ではなく,「良い科学か悪い科学か」を考える
    • クーンのパラダイム論
      • ヴィトゲンシュタインの言語ゲームに近い感覚
      • ある一定のコミュニティで,その考えが支持される状態
      • しかし,これもダメ
        • 創造論,代替医療
    • 伊勢田先生の提案「科学は品質を保証するための物差し」
      • 方法が最適であること
      • 知識を生み出していること
  • シミュレーションの科学哲学
    • 3つのメインストリーム
      • typology of science
      • epstnology of science
      • metaphysics of science
    • Norton and Suppe (2001)
      • 異なる気候モデルのシミュレーションであれ,結果が収束する
        • 知識を生み出しているのでは?
  • 疑問もろもろ
    • 「非科学的な方法」を包含する営みも科学でありうる
      • 数学は,ここでいう科学には含まれない
      • 同じロジックで,機械学習もOKなのか?
    • 科学:世界に関する経験的知識を生み出す
      • 自然科学・経験科学
      • 社会科学
      • 形式科学:ここでは含まれないと考えている
        • ちなみに,「科学哲学」は科学ではない
    • 哲学の議論
      • 基本的には,前提を仮定し,議論を論理的に導き,説得
      • 往々にして起こるのが,前提が共有されない,合意されないための見解の不一致
    • PREDICTIONとPROJECTION
      • ただ一つの解に落ち着くか,という視点
    • 科学の方法として,この辺はあまり議論されなかった(ポパー以前の話なのかな?)
      • 検証可能性
      • 再現可能性

 

 

 

  • kotsuking
  • 関東の某国立大学、准教授。他に、JST・さきがけ研究員、理研・客員研究員、気象予報士。京都大学大学院で博士(工学)を取得。
    スーパーコンピューターを駆使して天気予報の改善に取り組むデータ同化研究者。座右の書は「7つの習慣」。

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