河合隼雄「働きざかりの心理学」&「大人の友情」
宮嶋氏推薦,河合氏の心理学集.
氏は,長年心理学の研究&カウンセラーをしていた,というのもあって,なかなかリアリティの或る話と,自分の抱えているもやもやに対する言語化が素晴らしい.似たような状況は思い起こせばいくつも自分にある状況を提起し,そこに対する切り込みにいつも感心する.
著作全体で何かを伝えたい,という本では無いが,氏の経験上,働き盛りの世代にありがちな話題をまとめたものである.多かれ少なかれ自分にも思い当るところがあり,過去・今・将来の課題がこの中に詰め込まれているのだと思う.
・「虫が好かん」相手は,自分の影の部分を拡大して映してくれる鏡
・自己嫌悪は,自己洞察に繋がる前に嫌悪感のみが意識された状態
- 正義の味方
- 我こそは正しいという姿も,大学生までだと良い.
- しかし,30を過ぎて自分に責任を持つようになると,そうともばかりは言えないはずだ
- 「虫が好かん」「馬が合わない」
- 自分の無意識を,上手く他人称にした表現
- 虫の好かぬ相手は,自分が気付いていない影の部分を拡大して映してくれる鏡
- ほめること,しかること
- 叱るのは短期的な成果の最大化
- 長期的に視れば,褒めることが一番である
- 会議疲れ
- しんどくても,自分の力を発揮できる会議は疲れない
- 「自分の疲れを使い損ねた様な疲労」はずっしりと響く
- 強調と妥協
- 強調は,そのことを行うまでに苦しみがある
- 妥協は,そのことを終えてから苦しみがある
- 上に立つという事
- 几帳面に仕事をこなすことと,責任をTAKEして誰かに命令するのは全く異なる
- 部下に仕事を任せるというのも,種類の違った責任を引き受けている
- 自己嫌悪
- 他人を非難して自らを省みない人は,自己嫌悪に陥ることはない
- 自己嫌悪は,自己洞察の前段階で整理がつかず,嫌悪感のみが意識される状態
- 友人とは
- 彼を失っても尚、我々の友情は続いている
- 悪事を働いても、非難する前に、まずその悲しみ・苦しみに心を寄せる
- この源泉は、死すべきものの覚悟
- 友人とは双方向の付き合いである
- 夫婦・親子・兄弟・上司部下、あらゆる関係も深まってくると、その底には友情が働く