岸見一郎・古賀史健 共著
感動の二部作。
7つの習慣の似たような構造。
嫌われる勇気で説くのは、「どうやって自分の幸せを自分の物差しにしていくか」という、自分と見つめあうための物差しの提供。
幸せになる勇気で説くのは、嫌われる勇気を実践していく中で、他者との関わりをどう克服するか、という、より外的な方向への物差しの提供かと思われる。
最も大事な点は、「フロイト的原因論」から「アドラー的目的論」に変換すること。目的論に即して、自分でライフスタイル(世界をどう見るか)を選択すること。そして、他人ではなく、自分自身によって自分の評価点を付けるライフスタイルを身に着ける事が寛容(嫌われる勇気=人生に嘘をつかない)。その先の理想郷として、「共同体感覚」がある。主語を「私」から「私たち」に変換し、他者に尊敬をもってコミットし、そのコミット感に達成感を感じる、そのようなライフスタイルを身に着けたい。
嫌われる勇気
- フロイト的原因論==> 目的論への転換
- フロイトの原因論は、人間を機械化している
- 「なぜ世界がこう見えるか」ではない
- 「なぜ世界をこう見ているか」である
- 性格ではなく、変えるのはライフスタイル(世界観)
- 問題は、劣等性でも、劣等感でもなく、劣等コンプレックス
- そして劣等コンプレックスは、主観的に決められている!
- 自分が特別でありたいという願望(承認の欲求)からの離脱が必要
- =自分の採点官を自分自身にするのだ!
- 問題は、劣等性でも、劣等感でもなく、劣等コンプレックス
- 課題の分離、という考え方
- 他人の課題に踏み込まない、自分の課題に踏み込ませない
- 自己肯定ではなく、自己受容
- 対人関係のゴールは、共同体感覚
- =「優越性の追求」というゲームを降りる
- 「他者に貢献できている」という事に、自らの価値を感じる
- 世界の主人公は「私」である。しかし、「私」は世界の中心に君臨する存在ではない
- 悪いパターン: 世界の中心は私=>この人は何を与えてくれるか?
- 希望が満たされない
- 良い言葉まとめ
- 怒りを使う人は、それしか有用なツールがないから
- 嫌われるのは、自分の自由を遂行するためのコスト
- 対人関係のカードは「私」が握っている
- 人生とは連続する刹那
- 大切なのは、「何が与えられているか」ではなく、「与えられたものをどう使うか」
- 自らの不幸を武器に、相手を支配しようとする
- ニーチェのルサンチマンと同様
- 自らの不幸を特別であるための武器として使っている限り、その人は永遠に不幸を必要とする
- 他者の期待を満たす様に生き続けることは、人生の最大の嘘
- 所属感とは、自らの手で獲得していくもの
- 「行為のレベル」だけでなく、「存在のレベル」まで感謝を拡げる
- 「神が見ているから善行を積もう」という考えは、「誰も見ていなければ何をしてもよい」というニヒリズムと裏合わせの思想です!
幸せになる勇気
- アドラー心理学の目標
- 行動面の目標
- 1.自立すること
- 2.社会と調和して暮らせること
- 心理面の目標
- 1.私には能力がある、という意識
- 2.人々は私の仲間である、という意識
- 行動面の目標
- 原因論・目的論の復習
- 我々は過去の出来事により決定される存在ではなく、その出来事に「どの様な意味を与えるか」によって自らの生を決定している
- 変化することは死そのもの。だから、「色々あったけど、これで良かったんだ」と思いたいバイアスがある。
- 人間は誰しも、「私」という物語の編集者
- 教育とは尊敬から始まり、相手の自立を促すこと
- 尊敬とは、人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力
- 尊敬とは、その人がその人らしく成長発展していけるよう気遣う事
- 教育者とはカウンセラーである。
- 叱責を受けると、暴力的恐怖とは別に、「この人は未熟な人間なのだ」という洞察が、無意識のうちに働く
- 問題行動の5段階
- 1.賞賛の欲求
- 2.注目喚起
- 3.権力争い(反抗・不従順)
- 4.復讐(注目されないその他大勢よりはまし)
- 5.無能の証明
- 人生のタスク
- 1.仕事のタスク(信用、条件付けの信)
- 2.交友のタスク(信頼、条件なしの信)
- 先に信じる
- 3.愛のタスク
- 愛とは、「二人で成し遂げる課題」
- 愛とは、「私」から脱却し、「私たち」になること
- 響いた言葉
- 仕事によって認められるのは、あなたの「機能」であって、あなたではない
- 世界の一番の強者は、子供
- 己の弱さによって相手を支配
- 自分の弱さや不幸、トラウマを武器に他者をコントロールしようとする
- ルサンチマン・パターン