2020.01.13 [読書] 愛するということ

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愛するということ by エーリッヒ・フロム

1年半ぶりに読了。相変わらずの名著。前回の読書メモはこちら [Link]
色んな事に共通するが、僕個人にとっての名著は、読む度に新しい発見がある。
それだけ深い事が書いているということであるし、各ステージに大事なことが書かれているのだろう。
他には、7つの習慣、とかに似た様な感触を持っていたりする。
折角なので、前回からの差分として、今回新しく刺さった部分を取り上げてみたい。


今回新しく発見

  • 激痛
    • 人間形成
      • 与えるという意味で人を愛することが出来るか否かは、その人の人格発達と密接に関係している
      • つまり、その性格が、生産的な段階に達していなければいけない
    • 愛の段階
      • 幼稚:「愛されているから愛する」「あなたが必要だから、あなたを愛する」
      • 成熟:「愛するから愛される」「あなたを愛しているから、あなたが必要だ」
    • 2019年末・まりおさん問題
      • 人格形成の問題と、自己実現の問題を切り分けれられるのか?
    • 情緒発達の面で、母親への幼児的執着から抜けきれない男たち(P143)
  • 愛の必要条件
    • 一人でいられる能力こそ、愛する能力の前提条件。
    • ナルシズムの克服。
    • 客観的であると同時に、「どういうときに自分が客観的でないか」を知らないといけない
      • 困難に遭うほど、その人の本性が出る。余裕がある時は、誰でも大丈夫なのだ
    • 「信じる」ということ。理にかなった信念とは、自信の思考・感情・経験に基づいた確信。
    • 自分を知る勇気を持つ
      • どんな時にじぶんがズルく立ち振る舞うかを詳しく調べる
      • 人は意識の上では愛されない事を恐れているが、無意識の中では愛する事を恐れている。
  • 愛の求め=孤立の克服(仕事や戦争もその表れ)
    • 「人間の秘密」を知りたいという欲求
    • 相手のうちへ入っていく行為において、私は自分自身を、相手は相手自身を発見する。
  • 愛は「活動」である
    • 自分の外にある目的のためにエネルギーを注ぐ
    • スピノザの感情への見解
      • 「行動」: 能動的な感情
      • 「情熱」: 受動的な感情
    • 愛は、能動的な行動であり、受動的な情熱ではない。
    • 愛は、落ちるものではなく、自ら踏み込むものだ
  • 与えるということ
    • 何かを犠牲にすることではない。犠牲にするから美徳なのではない。
    • 与えることは、自分の持てる力・生命力の最も高度な表現。だから喜びを覚える。
    • 与えることは、自分の生命(自分の中に息づいているもの)を与えるのだ。
    • 本当の意味で与えれば、必ず何かを受け取っている。
  • 愛に必要な要素:配慮、責任、尊敬、知
    • 配慮:愛する者の生命と成長を、積極的に気にかける事
    • 責任:自発的に、他人の要求に応えられる用意
    • 尊敬:その人がその人らしく成長発展していくように気遣うこと
    • 知る:上記の3つを果たすには、知性で知らなければいけない
  • 母性愛の困難性
    • 母性愛の真価:幼児に対する愛ではなく、成長を遂げた子に対する愛
    • 母親は、子のスダチを耐え忍ぶだけでなく、それを望み、後押ししなければいけない。
    • ここに、愛するものの幸福以外、何も望まない能力が必要になる
  • 対立
    • 内的現実の奥底で体験されるような対立は、決して破壊的ではない
    • 真の対立のなかでは、それぞれが「自分の存在の中心」において自分自身を経験する
    • その経験に基づく愛は、絶え間ない挑戦である。安らぎの場ではなく、活動であり、成長であり、共同作業である。
    • 自分自身と一体化することによって、相手と一体化するということ
  •  その他
    • 愛は当たり前ではない。愛について学ばなければならない。理論に精通し、その修練に励むこと。
    • なぜ人は愛を学ばないのか?心から求めているのに、愛よりも物や名誉の方が大事だと考えているから
    • 宗教が復活しているなんて真っ赤な嘘だ
      • 今や神への愛は、疎外された性格構造に見合った関係へと変質している

前回のメモより

  •  基本事項
    • 愛することには技術が必要
    • 愛することは、能動的な行動
    • 愛しているから、あなたが必要、という状態に至る
    • 「与えることは犠牲」などの感覚は、愛を市場主義的感覚で見ているから起こるのだ
  • 誤認
    • 愛の問題を、「愛される問題」と捉えている
    • 「対象」の問題であって、「能力」の問題ではない、という思い込み
      • その昔は、結婚した後に愛が芽生えると考えられていた
    • 資本主義的考え。自分の価値と比べて、掘り出し物を探そうとしている
    • 恋に「落ちる」という体験と、「愛している」という安定的状態との錯誤
  • 第2章; 愛の理論
    • 愛の芽生え
      • 孤立しているのに、結ばれていない事への羞恥心・罪悪感・不安
    • 不安の解消
      • 仕事への熱中
      • 侵略
      • 宗教
      • 祝祭的興奮(集合意識)
      • 考え方としては、暇と退屈の倫理学に近い
    • 一体感を味うための方法
      • 1.祝祭的興奮(集合意識)
        • 一過性:性的興奮
        • 定常性:愛
      • 2.集団同調
      • 3.創造的活動
  • 愛とは
    • 能動的な活動で、自ら踏み込むもの
      • 与えることは、何か損するとか、犠牲にすることではない(資本主義的考え)
      • 与えることは美徳だからやる、のではない
    • 生産的にならねばならない
      • 与えることが、自らの喜びとなる
      • そう思えるかどうかが、その人間の成熟度を代表している
    • 幼稚な愛: 愛されるから、愛する。あなたが必要だから、あなたを愛する。
    • 成熟した愛: 愛するから、愛される。あなたを愛しているから、あなたが必要だ。
  • 愛の形
    • 1.親子の愛
      • 母親の愛: 受動的に受け取る愛 (無条件の愛)
      • 父親の愛: 私が愛するのは、あなたが私の期待に応えるからである (条件付きの愛)
    • 2. 兄妹の愛
    • 3. 異性の愛
    • 4. 自己への愛
      • 利己主義と自己愛が異なることに注意
    • 5. 神への愛
      • 母権的宗教(自然・無条件の愛)–>父権的宗教(一神教・条件付きの愛)への発展
  • 愛の練習
    • 客観性=ナルシズムの克服
      • 自分の不寛容・不機嫌を客観的に観察する
    • ナルシズムは、現実と自分の認識をゆがめる元凶である
    • 相手を信じること
      • 相手に対して誠実になるための必要条件

 

愛するということ 新訳版

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