河合速雄の不朽の名作。誰かに貸したまま迷子でしたが、正月にお父さんの書棚で見つけて持って帰ってきました。
あとがきにある通り、読んだ人が「ふむふむ」となる本である。
著者をそれを常識と謙虚に受け止めているが、それだけ人間観察を深めた河合さんならではの作品なのだろう。
いつかこういう本を書きたい。
以下、特に気になったやつ。
- 言い始めたのなら話合いを続けよう
- 妥協点を見出す、というのは愛情があるからできる事
- 何かを言うとき、「最終通告」の様に行うが、それが話の始まりであることも多い
- 黙って耐えるのにも限界がある。「理想の夫」を演じると、精も根も尽き果てる
- イライラは見通しの無さ
- 100点以外ダメな時がある
- 後から考えて良かったと思うことは、多くの場合マイナスの形で顕れる
- ここぞというときに100点をとっておけば、それ以外は60点で良い。
- 真面目も休み休み言え
- 優等生の作文。反証可能性がない。ポリティカル・コレクトネス。
- アメリカは、相手を激しく攻撃するが、その代わり相手の言い分もちゃんと聞く
- 日本式真面目では、まじめの側が正しいので、悪い方は謝るしかない。真面目は、相手への余裕の無さ。
- 強いものだけが感謝することが出来る。
- カウンセリング:自分の力で解決した人ほど、感謝の気持ちを述べて去っていく。
- 弱い人は、そもそも現状の把握が出来ない。
- 逆に、カウンセリングをしていて感謝がないと、まだその段階ではない、と見做すこともできる。
- 家族関係の仕事は大事業
- 「家族のことなど容易にできる」という思い込み。仕事より、よっぽど難しい。
- 家族会議。子供にも、父親が家族の長であるということがなんとなくわかる。
- 権力を捨てることで、内的権威が磨かれる
- 権力の行使は、権威の喪失である
- 権力の座は、孤独を要求する
- 心配も苦しみも楽しみのうち
- 心配すべき時にその心配を取り上げられると、生きる楽しみがなくなってしまう。
- あとがき
- 「フムフム」となるのは、元から自分の知ってることが書かれているから。
- 端的に言えば、この本には常識が書かれている。
- 100%正しい忠告は、まず役に立たない
- 理解ある親を持つ子はたまらない
- 子にとっては、時には人間としてぶつかって欲しい
- 心配かけたくない、に近い感覚?(心の受容と問題の解決)
- 己を殺して他人を殺す
- 己を殺すと、結果的にどこかで爆発し、結果的に「我儘な人」と思われてしまう。
- やりたいことは、まずやってみる
- 大体、初めて見れば時間のやりくりなどどうにでもなる。
- 羨ましい、という感情を大事にする。自分の向きたい方向を指しているので。
- 心の中の勝負は、51対49くらいの事が多い。
- しかし、49は深層心理に沈むので、見かけ上は2対0に見える
- 葛藤により51:49が50:50に近づいてくると、ごまかしたり、大きな声を出したりする
- これは、逆転のチャンスと見える。
- 説教の効果は、その長さと反比例
- 多くの場合、上司のストレス発散に説教は用いられてしまう。「良い話」は気持ちいいから。
- でも聞いてる方は、「いつ終わるのか?」に関心が行き、内容への関心が薄れる。効果が薄まる。
- 物事は努力によって解決しない
- 「努力すればうまくいく」は、ノルマ型思考。現代教育の典型。
- また、努力を結果が出ない事への免罪符にしていないか?
- 努力くらいしかやることがないから、やらせてもらってるって感覚で丁度良い。
- 解決は、所詮はあちらからやってくるもの
- 善は微に入り細にわたって行わねばならぬ
- 悪人礼賛的。善意の善ほど処しがたいものはない。
- 「ともかく善意でやってる」という人は、自分の好きに振舞っているだけなのである。
- 生まれ変わるには、死ななければならない
- ライフスタイルの変遷。「あの頃はよかった」と思う今は、あの頃の結果。
- 逃げるときは、物惜しみしない
- どっぷり漬かったものが、本当に離れられる。
- 人間関係
- 趣味も同じ。一度どっぷり浸かると、適度な距離を取れる
- 中途半端な事をすると、心残りがしてしまうのだ。
- 「昔はよかった」は進歩について行けぬ人の言葉
- この議論は、「今何をすべきか」という観点で極めて無力
- 「知る」ことによって二次災害を防ぐ
- しかし、「知ること」が知的な理解に閉じているときは、かえって危険。
- 心理学の本など読む「勉強好き」な人は要注意
- 結局、体験を通して学ぶのだ
- 「幸福」になるには、「断念」が必要である