職場の先生のおススメで読了。平易で読みやすい。
社会科学全般の話だが、論考というよりは主張(こうも読み取れる)というイメージ。批判なわけではなく、分野の違い。
自分なりの気づきは、下記。
- 資本主義は「パイの拡大を図る=ゼロサムゲームでない」ので、個人利益と集団利益が一致しうる
- 今はそもそも「モノが過剰」な時代。この時代の効率化や勤勉性は、必ずしも善ではない。
- 今必要なのは、過剰の抑制、富の再分配、地域コミュニティ経済の進展
資本主義と科学の近似性についても、この本の主要論点の一つなのだが、その点はあまりピンとこなかった。残念。
法則の追求、帰納的な合理性が科学にあるのは同意。資本主義に自然支配や個の独立という感覚があるのは支持できるが、なんか無理筋な気がするなぁ。
まだ自分の経験値が足りないのかもしれない。
- 序章:人類史における拡大・成長と定常化
- 人間のエネルギーの利用形態。「自然の搾取」の度合い
- 農耕 –> 化石燃料
- 1章:資本主義の意味
- 資本主義=市場経済 + 拡大・成長
- パイの拡大を追求。ゼロサムゲームではないので、「個人の利益」が「集団の利益」につながる
- 2章:科学と資本主義
- 相似性
- (1) 法則の追求: 「自然支配」「人間と自然の切断」
- 背景にあるのは、自然を支配しても良い、という近代哲学的な価値観
- 帰納法を唱えたフランシス・ベーコン。この時期、世界介入型の経験科学が大きく進展。
- (2) 帰納的な合理性: 共同体化からの個人の独立。
- 背景にあるのは、社会は独立した個人から成り立つ、という価値観。
- (1) 法則の追求: 「自然支配」「人間と自然の切断」
- 4つのステージ
- (1) 科学革命(ニュートン的)
- (2) 科学の制度化(産業と科学の結びつき)
- (3) 経済成長のための科学(ケインズ経済など、科学的な経済成長路線)
- (4) ポスト資本主義
- 資本主義が科学を利用しているようなイメージか?
- 相似性
- 3章:ポスト資本主義
- 「期待の搾取・未来の搾取」の時代。e.g., サブプライムローン、核廃棄物
- ちなみに、これまでは「過去の搾取(化石燃料)」
- 6章:資本主義の現在
- 今はそもそも、「モノが過剰」な時代。エネルギーを使った時間の短縮化。
- この状況では、生産性が上がるほど、失業率が増える。勤勉は必ずしも、善ではない。
- 必要な施策は
- (1) 過剰の抑制
- (2) 再分配の強化・再編
- (3) 地域コミュニティ経済の進展
- その他
- 約5万年前、心のビッグバン。(ヤスパースの呼ぶ枢軸時代)
- 最近の傾向として、インタラクション・関係性を扱う研究がどの分野でも進展している