橋爪大三郎と大澤真幸の対談形式。
正直難しい。解説を加えつつもあるが、それなりの専門知識がないと議論についていけない。
全部わかったとは到底思わないが、ある程度は網羅的な勉強が必要で、その上で改めて読むと面白いかもしれない、と思った。
簡単に言うと、アメリカという国を紐解くために重要な補助線は二つある。
一つはプロテスタンティズム。勤勉な労働者や発明に繋がる予定説の考え方。
もう一つは、アブダクションという推論形式。まずはやってみて、有益か否かで判断しよう。
どちらにも共通しているのは、「予言の自己成就」にあるように思う。
そしてそれは、「抽象性の罠」に対する処方箋でもある気がする。
いか、2つの思索は、本書で手に入れ「予言の自己成就(予定説&アブダクション)」がキーファクターになりました。
2019.09.26 [考え事] 自己肯定感と焦燥(抽象性の罠への処方箋)
2019.09.21 [考え事] ふわっとした目標と焦燥(抽象性の罠)
- キーワード: 予言の自己成就
- アメリカ人の「自分は選ばれている」という感覚
- カルヴァン派 ==> 資本主義
- プラグマティズム
- ある概念によって何が意味されているかを考えるときに、
- その概念の対象がどの様な結果を我々の結果にもたらすか、を考える
- 簡単:その真理が自分の生活に+であれば受け入れる、という生き方をしますよと言う宣言。
- プラグマティズムと近代科学の違い
- プラグマティズム: 経験に真理性を置く(経験の有用性から心理に迫る)
- 中世の哲学: 真理の認識(知性)と経験をはっきり区別する
- 中世: 真理性の基準は聖書。聖書を理解できれば、心理に至る(言葉による論証)
- 近代科学: 事物に対する経験の中に真理の基準がある。
- 科学革命≒近代科学
- 経験への不信感(デカルト):方法論的懐疑
- 人間が経験していることが真理ではないのではないか、という反省
- あらゆる経験は真理性を疎外しているかもしれない
- 「私は考える」という、内容を持たない経験の形式以外には真理の基準がない
- ベーコン(帰納法を定式化):
- 4つのイドラ(先入観):種族、洞窟(共同体)、市場(噂)、劇場(権威)
- 経験がいかに真理から遠ざかっているか、から始めた。
- その信用できない経験から真理を導く方法=帰納法
- そのために生み出された方法=実験
- 科学の画期性
- 経験はバラバラ、真理は一つ
- なのに、実験をすると、誰がやっても同じ結果(経験)が得られる
- カント(純粋理性批判)
- 「物自体」と「経験」を区別
- 我々が認識できるのは現象だけ
- その現象の背後に、真の実在としての物自体という仮定をおく
- 科学革命の中で得られた認識のありかたを反省的に取り出した感じ
- プラクティッシュ(実践的)な法則
- 実用的に役にたつプラグマティッシュ
- 道徳的に有用なモラリッシュ
- 経験への不信感(デカルト):方法論的懐疑
- プラグマティズム
- パース
- 探究とは懐疑という刺激で始まり、信仰・信念によって停止するプロセス
- カントのプラグマティッシュを援用
- 3つ目の推論形式
- インダクション(帰納)
- ディダクション(演繹)
- アブダクション
- 誤謬推理であることは100も承知
- しかし、その誤謬推理がもっている生産的な価値や意味を重視する
- 背理法的な感覚に近いか?
- ジェイムズ:実際的な結果
- 中世: 神の存在にまともに挑戦
- ジェイムズ: 仮にいると仮定して、「実際的な結果」として有益か?
- それで結果に何も影響がないのであれば、神の概念に意味はない
- クワイン:経験主義の2つのドグマ
- 分析的真理と総合的真理の間には断絶がある
- 分析的真理(形式科学)
- 総合的真理(経験科学)
- この2つがあるというのが、西洋哲学の大前提だった
- しかし、クワインはこの2つにあまり違いはないと主張
- 還元主義
- 分析的真理と総合的真理の間には断絶がある
- ローティ
- 近代哲学の3つの転回
- 認識論的転回(デカルト、ロック、カント)
- 真理の認識が可能であるか?
- 言語論的転回(e.g., 記号論理学、言語哲学)
- 「存在とは何か」ではなく、「どの様な時に存在しているといえるか」みたいな感じ
- 解釈学的転回
- 各人が前提としている知識の枠組みから独立した絶対的な真理は不在
- 認識論的転回(デカルト、ロック、カント)
- プラグマティズムの3つの重要な特徴
- アンチ・エッセンシャリズム(反本質主義)
- 真理如何より、それを信じた時にどうなるのか、という視点
- 事実と価値は区別できる、という立場
- 元々は、「生の実在があって、心がそれを映し出す鏡」
- しかし、認識活動とは、「これを信じるとしたら我々は何を為すべきか」
- 探究にとって大事なのは、会話だけ
- アンチ・エッセンシャリズム(反本質主義)
- プラグマティズムの重要な特徴は、可謬主義
- 我々の認識は間違っているかもしれない
- だから経験によって今のところ暫定的に有効だとしようよ
- 近代哲学の3つの転回
- パース
- アメリカで資本主義がうまくいった理由
- 1.豊富な資源、2.勤勉な労働者(プロテスタント)、3.進んだ科学技術
- 資本主義と予定説について
- 本来、利潤を取ることは、悪徳。
- 神はジョンが儲かると事前に知っている。
- 儲からなくさせることも出来たがしなかった。
- だから、儲かったのは神の恵みであり、見えざる手の表れである。
- プロテスタントの倫理と資本主義の精神は同じもの
- 信仰の内容としてみてみると、プロテスタントの倫理
- 行動の形式としてみると、資本主義の精神
- 以下例)発明の生み出す福利は神の恵み
- その福利を、発明を通じて普及させるのは、隣人愛の実践
- なので、資金を集めること・利息を得ることも全く問題ない
- 何故なら、神の恵み(福利)を人々に届けることは、神の意志に適っている
- 予定説
- 本当は自分が救済されているか分からない
- 自分は救済されている、と仮定する
- それを仮定して確信する
- この構造は、「アブダクション」と同じなのである
- そして、これは科学技術の発達(発明)にも繋がる
- 発明が成功するとは限らない
- しかし、成功するのだと仮定し、確信してしまう
- ==>予言の自己成就
- 成功者
- 自分には才能があると仮定し、確信する
- 努力ができ、成功する
- 予言の自己成就
- これが、抽象性の罠に対する回答ではなかろうか。
- アメリカの持つトラウマ的原罪
- ネイティブ・アメリカン
- アフリカ系アメリカ人
- ヤスパースの責罪論
- 刑事上の罪
- 政治上の罪
- 道義上の罪
- 形而上学的な罪
- その他のメモ
- 一神教の中でも、カトリックだけが、協会に重要性を持たせてしまった
- 予定説では、信仰を持って正しく生きれば救われる、は「誤」
- アメリカの建国期に、「大覚醒」という熱狂があった。
- 信仰を持つ前、世界は偶然。しかし、信仰を持つと世界は必然になる。
- まとめ:アメリカは何故、アメリカか
- キリスト教のプロテスタンティズム
- 予定説、勤勉な労働者、科学発明
- プラグマティズム
- キリスト教のプロテスタンティズム
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