「宇宙はいかに始まったのか」
職場の講演会をメモ.佐藤 勝彦 先生より.
現在の宇宙年齢は138億歳.その起源に関する人類の研究のREVIEW.
・インフレーション: 10^-36秒~10^-34秒
・ビッグバン: インフレーション後~38万年(宇宙背景放射が見ているもの)
- 1927 E. ハッブル: 宇宙は膨張している
- ブドウパンモデル
- という事は,宇宙は普遍ではなく,どこかの1点から始まったのでは?
- 1946 G. ガモフ: ビッグバン宇宙論
- 元素の生成を説明できる.
- しかし,ここで作れるのはリチウムくらいまで.
- それ以上の元素は恒星の中の核融合反応で作られたというのが定説
- 宇宙背景放射(マイクロ波)により裏付け(宇宙が38万年くらいの時の放射)
- プランク分布に従う
- 旧来のビッグモデルの問題点
- 宇宙の地平線に関する諸問題
- なぜ因果律を超えてほぼ一様なのか?(背景放射)
- 宇宙の大構造の起源の問題
- 超銀河団,ハチの巣構造に成長する密度のゆらぎスケール
- 磁気単極子問題(存在しない)
- 統一理論が正しければ,宇宙初期に大量に生成されていしまう
- 平坦性問題
- 相対論的宇宙モデルでは,宇宙を平坦なまま成長させる(曲率0)のは厳しい微調整が必要で不自然
- 曲率正だと宇宙はすぐにつぶれる
- 曲率負だと早く膨張してガスが集まらないので疎な宇宙になる
- 相対論的宇宙モデルでは,宇宙を平坦なまま成長させる(曲率0)のは厳しい微調整が必要で不自然
- 宇宙の地平線に関する諸問題
- 元素の生成を説明できる.
- インフレーション理論(1980年代)
- 微小な量子宇宙を,加速度的に膨張
- 銀河や銀河団に成長する種を仕込み
- 終わるときに火の玉宇宙(ビッグバン;おおむね38万年)にする
- 佐藤先生のインフレーション理論
- 素粒子の真空の相転移(真空の自発性対称性の破れ)を宇宙に応用
- 宇宙の初めには,「真空」は高エネルギー
- そこからの相転移により低エネルギー(ビッグバン)に移る
- 統一理論: 重力,電磁気力,弱い力,強い力
- 力も分化するのでは?
- (1) 重力
- (2) 色の力 ==> 強い相互作用
- (3) 電磁相互作用と弱い力
- 大統一理論は重力以外を扱う
- 力も分化するのでは?
- 大統一理論の相転移モデル(10^-36秒くらいの話)
- 指数関数的膨張を許すと(ある程度の継続時間)
- 地平性は急拡大(観測可能な宇宙は因果関係の内側)
- 急拡大で曲率はほぼ0に
- 磁気単極子も宇宙のかなたに追いやられる
- 宇宙の大構造の種は古典・量子揺らぎがインフレーションに引き伸ばされる
- 真空のエネルギーは”薄まらない”
- インフレーション期に宇宙は10^78倍程度に膨張
- 真空には,ヒッグズ場が満ちている
- ヒッグス粒子の発見
- 問題点
- 揺らぎが大きすぎるのでブラックホールだらけの宇宙になる
- 解決
- インフラトンという素粒子を仮定する
- そのインフラトンの相転移(安定化)の際の摩擦エネルギーをビッグバンの説明とできないか?
- インフラトンに多様なモデルが提案されている(100を超える)
- 指数関数的膨張を許すと(ある程度の継続時間)
- 素粒子の真空の相転移(真空の自発性対称性の破れ)を宇宙に応用
- インフレーション前の小さな宇宙はどのように創られるのか?(1980年代)
- 無の状態からのトンネル効果 ==> 宇宙の誕生 (from nothing)
- 最初は虚時間でのド・ジッター宇宙
- アインシュタイン方程式を虚数時間に拡張
- 最初は虚時間でのド・ジッター宇宙
- 1983 S.ホーキング : 宇宙誕生の無境界仮説
- 量子宇宙論は始まったばかり.超ひも理論に期待
- 無の状態からのトンネル効果 ==> 宇宙の誕生 (from nothing)
- インフレーション理論は観測で確かめることが出来るか?
- 宇宙背景放射の揺らぎが量子揺らぎによる種と見事に一致(G. スムート; 1980年代)
- 138億年前の量子揺らぎからのシミュレーションでハチの巣構造ができる
- ビッグバン宇宙誕生の瞬間を直接観測できないか?
- =原始重力波(時空の揺らぎ)を観測すれば...?