戸田山和久 科学哲学の冒険
良書.
科学というのは,普遍的なものかと思っていたけど,この考え方自体が一種の文化である,という感覚は面白かった.
もし仮にアンドロメダ星人がいたとして,彼らが地球と同じ物理法則にたどり着くか,というと必ずしも自明ではない.
そもそも,「神のみぞ知る普遍的な物理法則が存在する」のかどうか,それすら哲学論争の争点である.
### 今のところ,そんなものはない,という意見が強いらしい.
また,ポパーの反証主義など,基本的な考え方も知らないところが多くて目から鱗.
A==>B という仮説を立てて,Bが得られた時,Aは真なのか? 論理的には真とは言えない.
しかし,その逆は言える.B出ない時,Aという仮説は棄却される.科学とは,仮説を生き延びさせる営みだったのだ.
非常に面白いが,見慣れない論法を多用するので頭が痛い.
見通しを良くするためには,同じ類の本を数冊読む必要がありそう.
科学は帰納(経験)と演繹(論理)によって構成される
演繹:情報量は増えていない (deduction)
帰納:情報量を増やす (induction)
・枚挙的帰納
—-昨日も,おとといも,その前も,ずっと太陽は東から登っている
・アブダクション (abduction)
—-Hという仮説を採ると,Aが説明できる.だからきっとHなのだろう
・アナロジー
—-月と太陽は似ている.太陽は東から登るのだから,月も東から登るのだろう
19世紀: 仮説演繹法 (仮説 ==> 予言)
・しかしこれは正しい演繹ではない
・反証主義へ
社会構成主義
・知識テーゼYES; 独立性テーゼYES = 科学的実在論
・知識テーゼYES; 独立性テーゼNO = 観念論(社会構成主義)
・知識テーゼNo; 独立性テーゼYES = 反実在論
・独立性テーゼ: 人間の認識とは別に,世界の存在と秩序を認める
・知識テーゼ: 人間が科学によってその秩序を知りうることを認める
・反実在論: 知識テーゼを観測不可能な対象(超ミクロ)については拒否する
奇跡論法
・こんなに説明がうまくいくんだから
その他:
似非科学の特徴は,それを反証できない点にある
1件のコメント