2018.11.18 [読書] 働きざかりの心理学&大人の友情

河合隼雄「働きざかりの心理学」&「大人の友情」

宮嶋氏推薦,河合氏の心理学集.
氏は,長年心理学の研究&カウンセラーをしていた,というのもあって,なかなかリアリティの或る話と,自分の抱えているもやもやに対する言語化が素晴らしい.似たような状況は思い起こせばいくつも自分にある状況を提起し,そこに対する切り込みにいつも感心する.

著作全体で何かを伝えたい,という本では無いが,氏の経験上,働き盛りの世代にありがちな話題をまとめたものである.多かれ少なかれ自分にも思い当るところがあり,過去・今・将来の課題がこの中に詰め込まれているのだと思う.

・「虫が好かん」相手は,自分の影の部分を拡大して映してくれる鏡
・自己嫌悪は,自己洞察に繋がる前に嫌悪感のみが意識された状態

 


  • 正義の味方
    • 我こそは正しいという姿も,大学生までだと良い.
    • しかし,30を過ぎて自分に責任を持つようになると,そうともばかりは言えないはずだ
  • 「虫が好かん」「馬が合わない」
    • 自分の無意識を,上手く他人称にした表現
    • 虫の好かぬ相手は,自分が気付いていない影の部分を拡大して映してくれる鏡
  • ほめること,しかること
    • 叱るのは短期的な成果の最大化
    • 長期的に視れば,褒めることが一番である
  • 会議疲れ
    • しんどくても,自分の力を発揮できる会議は疲れない
    • 「自分の疲れを使い損ねた様な疲労」はずっしりと響く
  • 強調と妥協
    • 強調は,そのことを行うまでに苦しみがある
    • 妥協は,そのことを終えてから苦しみがある
  • 上に立つという事
    • 几帳面に仕事をこなすことと,責任をTAKEして誰かに命令するのは全く異なる
    • 部下に仕事を任せるというのも,種類の違った責任を引き受けている
  • 自己嫌悪
    • 他人を非難して自らを省みない人は,自己嫌悪に陥ることはない
    • 自己嫌悪は,自己洞察の前段階で整理がつかず,嫌悪感のみが意識される状態
  • 友人とは
    • 彼を失っても尚、我々の友情は続いている
    • 悪事を働いても、非難する前に、まずその悲しみ・苦しみに心を寄せる
      • この源泉は、死すべきものの覚悟
    • 友人とは双方向の付き合いである
    • 夫婦・親子・兄弟・上司部下、あらゆる関係も深まってくると、その底には友情が働く


働きざかりの心理学 (新潮文庫)


大人の友情 (朝日文庫 か 23-8)

  • kotsuking
  • 関東の某国立大学、教授。他に、JST・さきがけ研究員、理研・客員研究員、気象予報士。京都大学大学院で博士(工学)を取得。
    スーパーコンピューターを駆使して天気予報の改善に取り組むデータ同化研究者。座右の書は「7つの習慣」。

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