2018.09.06 [読書] マインドコントロール

岡田尊司 マインド・コントロール

見たくて済むものなら,見たくない,マインドコントロール.
そのプロセスを包括的にまとめられている.
自分自身が知る,過去のマインドコントロールも,本書で指摘されているいくつかのパターンに十分に当てはまる.それだけ,本書が現時点の人類の理解を良くまとめているという事.
読む価値のある一作.


  • 第一原理: 情報の入力制限・過剰
    • 何も考えられない状況にして無意識に刷り込む
  • 第二原理: 考える余力をなくす
    • 脳を慢性疲労状態に置く(e.g. 睡眠不足)
      • 主体性を奪われる
    • 糖質を与えない,などの化学的アプローチも有効
  • 第三原理: 確信を持って救済を約束する
    • 上述の状態の下では,神秘体験として与えられる
  • 第四原理: 人は愛されたく思い,憎まれたくない
    • 連帯感・社会性の悪用
  • 第五原理: 自己判断を許さない,依存状態に置き続ける

 

  • マインドコントロールする側の特性
    • 本質は肥大した自己愛と共感性の欠如
    •  閉鎖的集団の優位性,思いやり・倫理観の欠如
      • 支配は中毒になる
    • 似ているもの: マキャベリズム・自己愛・サイコパス
  • される側の特性
    • 本質は依存性(自分で考えたくない,価値判断したくない)
  • 自己愛の2つの形
    • 自らが神のような存在でありたい(する側)
    • 神を崇拝し,神に近づきたい(される側)
  • テクニック集
    • ダブルバインド
      • このオプションは付けますか? (買う事を前提)
      • ごはんの前に宿題する?後にする?
      • 「する」と答えることで,それが無意識に刷り込まれる
  • パブロフの犬
    • 第一の段階: 等価的段階(ベル–>よだれ)
    • 第二の段階:
    • 第三の段階:
  • ロシアの強制収容所のプロセス
    • 時間間隔を無くす
    • 罪状を自白させる.そして答えは与えない
      • 書いている内容はどうでもよくなり,正解したいだけになる
    • 無意識化(理性の無いところ)で行われているのがポイント


マインド・コントロール 増補改訂版 (文春新書)

  • kotsuking
  • 関東の某国立大学、教授。他に、JST・さきがけ研究員、理研・客員研究員、気象予報士。京都大学大学院で博士(工学)を取得。
    スーパーコンピューターを駆使して天気予報の改善に取り組むデータ同化研究者。座右の書は「7つの習慣」。

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