20120323 [読書] 予想通りに不合理

ダン・アリエリー: 予想通りに不合理

行動経済学なんかをかじってると,どこかで聞いたことのあるショッキングな言葉.とりあえず,今回はこれまでにかじった行動経済学の知識と,TEDで配信されている彼のプレゼンより.プレゼンは20分程度,字幕もあるので,英語が分からなくても善く分かる.
http://www.ted.com/talks/lang/ja/
dan_ariely_asks_are_we_in_control_of_our_own_decisions.html
(リンクがうまく貼れないので,2段にしています.)

彼のプレゼンのイントロ(8割)は,脳が如何に合理的な判断をできないか,という事を述べている.更に困った事は,自分自身の行動は,合理的だと信じている事である.

彼はここで,視覚を利用した脳の欺きを紹介している.自分の脳が完璧だと思う人は,実際に動画を見てみましょう.
皆残は分かりませんが,残念ながら僕の脳は不完全でした.

では,我々の脳が不完全な事(完全に合理的判断ができない事)は,果たして不幸な事でしょうか.

「我々は物理的構造物を作るとき,物理的限界を考えて作ります.しかし,株式市場,健康保険,年金等を構築する時,どうも我々は,認識の限界を忘れます.」

「我々が物質的な限界を理解すると同時に,認識的な限界を理解するならば,よりよい世界を設計できると思います.これが行動経済学が示す希望なのです.」

彼の意図は分からないが,これは為政者の発想である.
最近は,”理想の社会”とは何なのか,という事を思う事がある(考に至らず).現在,佐伯啓思の「反幸福論」を読んでいますが,人類の物質的欲求は満たされることがなく,我々は新たな幸福の形を見つける段階にある,と述べられている。

物質的欲求そのものは満たされることがない.かつ,我々がこれまで前提としてきた,成長社会が本質的に不可能である事を述べているのは,メドウズの「成長の限界」となります.つまり,これから物質的充実が低下する可能性が高いという事です(50-100年規模のオーダーですが).

「成長の限界」が述べているのは,成長をし続ける事が本質的に不可能であるので,社会はある「定常状態」を目指すべきだ,という事ではないか(かつその方法を探る).その時,物質的欲求を満たされなくなった人々は,不満がたまるでしょう.

この問題の解決方法の一つのヒントが,ダン・アリエリーの最後のコメントなのではないでしょうか.

「物質的欲求がなくても,脳を欺くことは可能である.」

「そうすれば,よりよい世界を設計できると思います」

  • kotsuking
  • 理研・計算科学研究センター研究員、文部科学省卓越研究員、気象予報士。
    京都大学大学院で博士(工学)を取得。
    スーパーコンピューターを駆使して天気予報の改善に取り組むデータ同化研究者。
    座右の書は「7つの習慣」。

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